春告げ抹茶ホイップ

Claude Code Fable 5 を触ってみた感想雑記

Claude Code の Mythos 級と言われる fable 5、止められてしまいましたね。

せっかくなのでここ数日触ってみた感想を。


止められるまでの間に、それまで Codex に作らせていた GUI フレームーワーク作成の続きをやってもらったのですが、この短時間でも fable の強さは感じられました。Anthropic の言うようにすごすぎて危険なモデル、という感覚はあまりないですが、順当に作れるプログラムの規模が大きくなっているというのはよくわかりました。

以下に試してみた様子を載せておきます。


作成していたのは Rust の上で Vulkan を使ったネイティブの描画も色々出来る GUI フレームワークの作成です。 Rust にもいくつか GUI フレームワークはありますが、微妙にどれも私の要求を完全に満たしていなかったので、自分専用にコーディング作ってもらうことにしました。

3D 描画をグリグリ行える GpuRegion が欲しいという要望があったりとか、Vulkan の GPU リソース管理がどうなっているべきかなどは Chat GPT の GPT Pro と壁打ちをして設計を詰めてから、実装は Codex 5.5 に任せていました。

私の欲しかった以下のような特徴を持つ GUI フレームワークを作ってもらおうとしています。

  • gpui 的な所有権と GUI ツリーの解決
  • Vulkan を薄くラップしただけでほとんどそのままの GUI 描画が出来る GpuRegion がある
    • 3D をゴリゴリ描画する GUI も作れる
  • OCIO をデフォルトで組み込み
    • OS がディスプレイが HDR に対応していたときにウィンドウ自体の HDR への対応と各 Region に色空間のメタ情報を持たせてウィンドウ内に一貫した色空間でレンダリングされる
  • ウィジェットなどを自由に作れる拡張性を持つ
  • 各ウィジェットの操作は外部からプログラムで操作可能
    • アプリに特定の引数をつけると websocket サーバーが立ち上がる
    • そのサーバーに json を投げると外部から操作できる
    • ユーザー独自のウィジェットやウィジェット以外も GpuRegion 内のギズモなども操作対象として登録できる
  • mcp サーバー対応の GUI が作れる
    • json 経由で現在表示されているノードを受け取ったりそのなかのウィジェットの操作を json で投げれたり

色々機能モリモリで出来上がるかわからんなあと思っていたが fable 5 が来て AI の力で作り上げられそうな気配がでてきた。


まずは fable に任せる前に、GUI フレームワーク制作は Codex で 10 日ちょっと走らせて出来ていたのがここまででした。 矩形を並べるのと文字表示が出来たあたり。

これでも相当すごくて、ピュアな Vulkan の上に文字を自由に描画できるようにするだけでも、普通に自分が実装したら数週間掛かけても終わるかわからんタスクなのでそれをこなしている時点で Codex 5.5 も十分強いと思います。

やっているのは既存の GUI フレームワークではなく Vulkan の上に矩形や文字描画などを実装し、そしてマウスとかキー入力のイベント処理を扱って GUI フレームワークを一からつくるというタスクです。 この文字のラスタライズには FreeType のライブラリを使い、文字の周りについては Parley というライブラリを使っているので、完全に文字の描画をゼロから開発しているわけではありませんし、矩形のレイアウトも taffy というライブライを使っていますが……。 それでも Vulkan という三角形を描画するだけでも 1000 行超えるコードが必要な低レイヤーグラフィックス API でこういう高レイヤーな物を作っていくのが組み上がっていくのはすごいと思います。

自分が同じものを作ったら全然もっと時間がかかることが想像できるので 10 日ちょっとでここまで作ってくれた Codex 5.5 も十二分に偉大です。 ただ、コードベースがだいぶ膨らんでしまって、だんだん機能追加が Codex には難しくなってきたようで、リファクタを命じてから最後の 2 日程度はリファクタをずっと続けて結局きれいに整理までは出来ていない、という感じで Codex 5.5 も限界が見えてきているような印象でした。


そして上記まで実装させたところで fable 5 が発表されたので、バトンタッチしてそのまま GUI フレームワークの制作の続きをやってもらいました。 すると数時間で次のような GUI が出来上がりました。

その後も DCC ツールっぽい GUI を作らせたり日本語の IME 入力に対応させたりというのが着々と進んでいきます。 Codex 5.5 では数日掛けてもなかなか出来上がらなかったものが数時間とかでどんどん出来上がっていきます。

その後もスタイルを変えてみたり内部の設計の大幅なリファクタリングをやったりとしてみて非常に優秀でした。

動画で動いている様子は以下のツイートにあります。

ここまでやって fable 5 のアクセスが止められてしまいましたが、既存の Opus や Codex 5.5 よりさらに一段階レベル上なコーディング能力が感じられました。

今回試したのは純粋にものを作るコーディングであってそれ以外のタスクについてはわかりませんが、コーディングについては順当に大規模なコードベースをゴリゴリ扱える力強さがより強くなっており一世代分は順当進化しているなと思いました。 一方で順当な進化は感じられたものの、今までと全く質の違う理解できない超知能があると言うほどかというと、あくまで既存の出来ることがより強力にパワフルになったなあという感想ではありました。


アメリカ政府によるアクセス停止がいつまで続くのか、今後一般人は Mythos 級のモデルをさわれない時代が来るのか、それとも別の国の企業とかが同レベルのモデルを作って数カ月後とかにはこのレベルの能力が誰でも使えるようになっているのかはわかりません。 しかし、もしこのレベルのモデルが使えるようになっていくと作りたいものがどんどん形になって楽しい感じがします。

安全性とかセキュリティをどうするのかとか、難しい問題はいろいろあるでしょうけど、そういうのを置いておいて個人で色々作っている人間からすると、今まで作りたいなと思っていたけど工数がかかりすぎるから諦めていたものがどんどん作らせられるようになっていくので、非常に楽しいなあと思っています。

一般の人でもこういうモデルに触られるようになったらどのような時代が来るのでしょうね。 まあ、そもそも基礎力がない人は fable でないと出来ないほどのタスクや課題を持ち合わせていないみたいな話があったりするらしいので、このようなモデルが出回っても万人が使いこなせるとは限らないのかもしれませんが……。 (すでに AI 驚き屋さんが fable にしか任せられないタスクを持ち合わせていなくて驚けないとかそういう噂話が X で流れてきたりしていました……)


私自身は情報系出身ではあるのですが、この情報系のコンピューターに関する基礎知識は、プログラミングがここまで代替されてもまだ情報系の知識はあってよかったなとは感じています。

結局コンピュータをかじったことあってソフトウェアがどういうこと出来そうかくらいは知っていたほうがコーディングエージェントに命じるときにやりやすいとかあるので、情報系の知識によるアドバンテージは消えない気はしています。 が、複雑な理論を知っているのは AI に頼むときの語彙が増えるので意味があっても、複雑な理論をコードに落とすことが出来るというコーディング部分の能力については価値が一気に下がっていっているなあという感覚。

コンピュータ系の基礎知識を手に入れたあと他の知識を手に入れることないままコーディングの技術だけで食っていますという人は明確にやることがなくなるのかなあと思います。 一方でコンピュータの知識を持ったうえで、他にも専門があったり、あるいはコーディングだけじゃなく作りたいものが色々あるとかそういう人にとっては楽しい状況なんじゃないかなあという感覚ですね。

今後はコーディングとかプログラミング自体の能力より、別途深く知識を持った領域とか、あるいは別のスキルも持っておくと良さそう。 IT 系の知識は基礎知識として持っていると AI のコーディングにバフを掛けられるけど、それ単体では結局作るものがなく意味がないので他にやりたいことや別分野の知識は持ち合わせておいたほうが良さそうですね。

私はプログラミングを多くやってきましたが、プログラミング以外にもやりたいことは色々ある人間だったので、今後は少しずつプログラミングからそれ以外の体験を経験する方に軸足を移していっても良いかもなあと思っています。


ということで、Claude Code Fable 5 を触って思い浮かんだ感想を雑多に書き並べてみました。

話はそれますが、これからの時代には AI で生成していない雑多に書き散らした個人の人間の感想というのは、実はそれなりに意味あるものになるかもしれません。 人々は AI に文章を書かせるようになるし、思考体力のない人は AI に全部思考を丸投げしてでてきたものをそのまま自分の考えとして受け入れるようになっていくでしょう。

しかし、実際に現実世界に対してどうしたいという欲求とか課題感を持つのは今のところは人間の役割です。 人間がなにか意図を持っていたり何かを為したくて考えたり書いたりした文章かというのは、あまり意図もなく大量の思考を作り出せる AI の作った文章より現実に接地している文章となる気がします。 あるいはそういう明確な意図がなくても、個人の経験に紐づいて現実世界に接地している文章というのはまだしばらくは価値がありそうな気がします。 AI が実際にロボットの体を手に入れて人間社会で暮らすようになって、その中でやりたいことを見つけていくようになったら、その時は上記の違いもあまりないのでしょうけど、今のところは AI は現実世界との接地が弱いのが弱点だと思います。

そういう意味で人間の体験や経験その他がちゃんと書かれた文章として、雑に感想を残しておこうと思った次第です。